070420讀賣しまふくろう 花々の古道

20070421

■弊社社長のコラム(読売新聞全道版2年間36回予定21回目)です。

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讀賣新聞
2007年(平成19年)4月20日(金曜日)
しまふくろう
 花々の古道  中塚 徹朗

 「頂上から津軽海峡までくっきり見えて、気分爽快だったさ」と、山の様子を見てきた農家の笹島さんが教えてくれた。
大千軒岳の山ろく南向きの斜面一帯は、いま春の使者・カタクリで大にぎわいとのこと。この調子で行くと5月の連休あたりには、エゾエンゴサク、シラネアオイ、イチリンソウなどの山の花々も千紫万紅だろう。

 さて、この花々を縫うように古道がひっそりと佇(たたず)んでいる。歴代松前藩主をはじめ、円空、伊能忠敬、松浦武四郎など多くの著名人が通った歴史とロマンあふれる通称「殿様街道」である。なかでも注目されるのは、明治元年の箱館戦争。土方歳三を総督とする徳川脱走軍数百人が松前城に攻め入る途中、この山頂で攻防を極めた。

 土方軍阻止のため福島町内に本陣を張った松前藩は、20キロも離れた海岸から大砲2門を標高250メートルのこの山頂まで人力で雪道を引っ張り上げ、ここを守った。花々の咲き誇るその陰翳には先人の臥薪嘗胆。思わず祈りの心が芽生えてくる。

 この季節と歴史を楽しむ市民の散策会「第7回殿様街道探訪ウォーク」が連休5月3、4日に開催される。

(福島町・会社社長)