日本野鳥の会道南桧山支部会報「はちゃむ」H12年11月号投稿文
「津軽海峡:感動の渡り場」  福島町 中塚徹朗
天気のいい日は海の向こうまで見えて気持ちがいいですね。
福島町から松前町へと向かう車窓からは竜飛崎の風力発電の風車の林もはっきり見えて、あー近いんだなぁ。
とつくづく感じちゃいます。突然ですが、縄文の人々はこの津軽海峡を渡って盛んに交流したそうです。そう言えば、向こう岸の友達が手を振ってたらお返しに「オーイッ」と大きな声も届きそうです。
 平成10年6月30日。福島町で楽しい行事がありました。フェリーが就航したのです。
三厩と福島をつなぐ船です。これでますます対岸とお近づき。この喜びを応援しようと福島の人たちが江戸時代の「のろし」をあげました。
大きな山を築き建てて頂上に穴を掘りそのなかで杉やヨモギの葉を燃やしました。(白い煙を出す方法です。)青森側の人たちは竜飛崎でやりました。白い太い煙の竜がそれぞれの背景の緑の山並みの中をゆっくりとはい昇って行きました。向こうとこちら二十数キロ離れたお互いの肉眼にくっきりとそれはそれは申し分なく映えました。
「やった。見えた。本当に!!」感動が海を渡りました。みんなきっとそう思いました。津軽海峡は対岸を隔てる壁ではない。本来お互いを引きつける感動の渡り場だったのです。
 「渡り」と言えば「鳥」です。なぜかココ福島町は野鳥の多いところです。エセ野鳥の会会員の私には、その理由がずーっと分かりませんでした。先日、鳥の先生林吉彦先生の講演会に参加させていただきました。(道南建設二世会というちょっと聞き慣れない会の主催です。建設業の若手経営者の集まりに林先生は貴重な御時間を割いてくださいました。)津軽海峡の地形図・日本地図やさまざまな渡り鳥の写真をOHPやスライドで紹介して下さいました。なるほどなるほどよ〜く分かる!渡りの鳥たちにとってここ福島町はいわば”関所”だったのです。小さな鳥たちにとって大切なのは陸と陸のもっとも近いところをより安全に確実に飛ぶこと。戸井−大間も近いけれど偏西風の知識があれば白神−竜飛経由で正解です。なぜならいくら強い西風で飛ばされてもこちらは下北半島に着陸できますが、かたや太平洋への着陸ではいただけません。永いながい年月をかけて今のルートが鳥たちに選ばれたのです。これはほんの一例ですが、多くの鳥たちの歳月の贈り物を感動を通して学ばせていただきました。
 海を見つめるとき心が高く飛んでいきます。「船」も「のろし」も「鳥たち」もきっときっと人々の古来からの感動を
「こちら」から「あちら」へと伝える重要な役目を持っていたのでしょう。林先生はそんなことを私たちにさりげなく教えてくださいました。
 さて今日も空気は澄み渡り津軽海峡の向こうはくっきり。竜飛崎の友人に今さっき大声で語りかけて来たところです。みなさんも一度ここ福島町の海岸に来て対岸の友人に大声で呼びかけてみてくださいね。
注)フェリー就航は今は中止になっています。